ー仏像~徹底反復学習ー
講師:紺野敏文 日時:2009年10月13日(火) P.M.7:00開塾 場所:白金アートコンプレックス ロンドンギャラリー Text by miyaben 仏教美術史家の紺野敏文先生による「仏像の見方」です。 場所は白金アートコンプレックスのロンドンギャラリー。 第64回「水墨画の見方」をここで行ったときも、重文級の水墨画が並んでおり、講師の島尾先生が屏風と一緒に記念撮影をしていましたが、今回もまた、ギャラリー所蔵の貴重な仏像がずらり。 しかし素人は「これ、けっこう軽いよ」とかいいながら、オーナーの目を盗んでは触ってみたり、考えることが恐ろしい。 さて、会場に足を踏み入れた先生もまた、あることを思い立ちました。 それはこれから2時間、たっぷりと講義をしたあと、展示されている仏像の種類を参加者に答えさせるという趣向。 ううん、講義のあとにテストがあるとは……。 あ、先生は慶應義塾の名誉教授で、もちろん教壇にも立たれていました。 紺野敏文先生 講義は画像を見ながらの説明でした。 通常、カルチャースクールでは、4回ほどに分けてレクチャーする内容ですが、和塾はたった1回。この1回である程度、仏像がわかるようにという講義でした。 途切れのない口調で一体一体の説明、聴講者は膨大な知識の大河に身をまかせるしかありません。 先生も、いつもより多めに画像をまわしております。 というわけで、ええと……私の理解の範疇で要約します。 仏像には大きく分けて5つあります。 ■悟りをひらいた「如来」 ■次に如来になるべく修業している「菩薩」 ■密教が作り出した「明王」 ■インド出身の守護神「天部」 ■実在したとされる「高僧」と神様が仏の姿になった「習合神」 今回はとくに如来の種類と菩薩の種類の説明がありました。 如来の種類は6つ。 釈迦如来、弥勒如来、薬師如来、阿弥陀如来、盧遮那仏(るしゃなぶつ)如来、大日如来 その見分け方は印相と呼ばれる手の形や、持物(じもつ)などです。 菩薩も大きく分けると4つ 弥勒菩薩、観音菩薩、動物に乗っている菩薩、宝珠を持っている菩薩 このなかで、とくに観音は種類が多いのですが、省略します。 上の写真は、ロンドンギャラリー所蔵の十一面観音。頭の上に10面の顔があります。小さいお像ですが、怒った顔、笑った顔などが備えられています。鎌倉時代 講義を終えてほっとしたのもつかの間、話をどれだけ聞いていたか、展示されたお像でテストです。 「このお像の特徴は、髪の毛です。はい、そこのお嬢さん、何かいいかけましたね。何という仏さまですか?」 「…………ふ、不動明王」 おおお! わき上がる喚声。 講義後のテストです。 不動明王ですね。 これは何かに似ています。 先生のスライドは阿弥陀なら阿弥陀を、全国いくつもの像を見せていく方式でした。理屈よりも前に、仏像のパターンを脳に刻ませてしまうこの方式。 おお、これはいま教育界に話題の「徹底反復学習」というやつではないか! 仏像徹底反復学習……新しい、新しすぎるよ、先生! 先生、そして聴講生のみなさん、ありがとうございました。 ※以下今回展示された仏像の画像、いくつか掲載しておきます。 これはガンダーラ仏さま これは唐招提寺盧遮那仏光背にあったとされる仏様。掛け仏になっています。 如来像 毘沙門天像
by wajuku-sewanin
| 2009-10-13 19:00
| お稽古
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